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企業経営と国家経営を同列に論じてはいけない

国家経営に企業経営の経営能力が必要だ、などと単純に言う人がいるが、それは間違いである。

そもそもこの日本の企業経営で本当にうまくやっている企業はあまりないのだ。

今では、ほとんどの大企業が創業社長ではなくサラリーマン社長になってしまっている。サラリーマン社長はどうしても思い切った対応ができない。どうやって市場を作って行くのかもよくわかっていないし、取引先も先代の資産を活用しているだけであって、自らのリスクで開拓していった取引先が少ないからだ。要は安全圏の中でおままごとをやっている社長が多い。そもそもリスクを取った仕事ができるのなら起業しているはずである。大企業の中でぬくぬくと育っている人物に経営などできるはずがないのだ。そういう現状維持的な企業経営をしている経営者の感覚を国家経営に持って来てもらっては困る。

ところが、創業社長であっても、日本の発展を願っているのではなく、自己の利益のために会社経営をしている人たちも多いのでそれらも参考にならない。本来企業は自国の発展のために自国の正社員を雇って付加価値を創造していくのが使命であるのに、安い労働力を頼って海外に作らせる(もしくは非正規社員を雇うなどして)、日本で不当な安値で販売し、国内産業を破壊するだけの企業も多い。

今の日本の企業は上記のように、経営能力のない社長による安全志向型企業か、自己の欲望の実現のために利益のみを追い求めている刹那型急成長企業の2パターンがほとんどだ。本当に必要なものを年輪のように積み上げて行く企業が少ない。

そんな企業経営者の言うことを参考に国家経営をすると、「事業仕分け」のような話になってしまう。短期利益を追求するために経費を削減するのは会計士の発想だが、本当にそんなことを国家に適用してしまう政府があるというのは驚きだ。

国家は営利企業ではないのだ。

短期的利益の追求など必要ではなく、他国に負けない国力をつけていくというのが政府の第一の目的なのだ。特に資源の少ない我が国の場合、プレゼンスを上げるのは経済成長しかないのである。

であるならば、「事業仕分け」なんてのはもってのほかである。政府主導事業をじゃんじゃん行って需要を喚起して行く必要がある。需要は作って行くものであって、自然発生的に需要は発生しない。戦後日本が急成長したのも、松下やソニーやトヨタやホンダをはじめとして、今までにないライフスタイルの提案をどんどん行った企業がいたから成長したのである。だから需要を掘り起こす必要があるのだ。その点、アメリカはappleやgoogleなど、今までにない価値の創造を今でも現在進行形で行っている。日本に必要なのはそういった新しいライフスタイルの提案である。「もう買うものがない」ことはないのだ。この低成長下でもやっぱりiPhoneは売れるし、ダイソンの羽なし扇風機は売れるのだ。日本企業はいったい何をしているのだろうか?

政府に必要なことは、そういうベンチャー的なアイデアを出す企業を応援したり、民間ではできない「はやぶさ」プロジェクトなどに代表される科学技術に関する投資を行うべきだ。どこで需要が生まれるかなどというのはやってみなければわからないのだ。

もちろん政府だけが悪いわけではない。リスクを取った仕事のできなくなった民間企業が元凶である。しかしながら、もうほとんどの企業が自己推進能力を失っている以上、新しい風をだれかが吹き込まなければ、日本経済は衰退していってしまうのではないだろうかと思うのだ。

話が飛んでしまったが、国家経営において、会計士の発想による、歳出圧縮、消費税増税、などという真逆の政策を政府はおこなってはいけないということを言いたかったのである。本当にとるべきなのは「歳出増加、増税ストップ」という政策なのだ。

法人税減税も必要ない。法人税減税によって従業員所得の増加が保証されているのであればやっても良いが、そんなことをする企業はなく、単純に海外企業の日本参入を容易にしてしまうだけの愚策である。日本企業が滅びるだけである。ただでさえおままごと経営なのだから。
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