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経済成長に消費税増税は逆効果



日本ではバブル崩壊後しばらくして1995年頃からを境目に低成長が続き「20年不況」と言われているが、一人あたりGDPを見てみると意外なことに堅調に推移している。グラフの動きは欧米諸国と特に変わらず、中韓とは大きく異なって、やはり先進国セクターに入っていることがわかる。

がしかし、実感として、これほどの経済成長の恩恵を受けている気がしない。

一つの原因として考えられるのは1997年に導入した消費税率5%への引き上げである。2%の増税だけの話だが、成長率が2%もないのでこれが実質のデフレ要因になっている。実際には庶民の懐にはいるべき2%の給与増加が毎年その分消費税に相殺され続けているため、一向に上昇に転じないのである。

消費税増税の社会への影響は大きく、増税の翌年から自殺者がぐんと跳ね上がり年間3万人を超えるようになってしまった。
自殺者推移

で、実際税収はどのように推移しているのかを見てみると下記の通りである。

(財務省:主要税目の税収(一般会計分)推移)


(財務省:一般会計税収の推移)

なんのことはない、総額としては消費税増税後、減少してしまっている。消費税を増税した平成9年以降消費税収入は確かに4兆円ほど増加しているが、所得税は19兆円から最近では13兆円まで6兆円減少し、法人税に至っては14.5兆円から9.4兆円まで5兆円減少している。平成9年を最後に53兆円を超えることは一度もなく、鳩山首相の頃は3割減の38.7兆円まで減少してしまっている。

バブル前で所得税収が18兆円程度だったことを思えば、少なくとも所得税を18兆円までに増加させたい。それは難しい話ではなく、バブル崩壊後の平成8年レベルに戻すだけのことだ。つまり消費税増税前の消費税率3%に戻すということだ。それを真逆の8%にするからにはそれ相応な所得増加がセットになっていなければならない。

現時点では、来年度の予算を50兆10億円と予想に対して大きく積み増ししている(所得税14兆7900億円、消費税15兆3390億円)が、そのためにはそれ相応の所得増加が発生しなければ達成不可能である。少なくともベースアップとして増税分3%+インフレ分2%の計5%の上昇(給料30万円の人で1万5千円のベースアップ)が絶対に必要だ。だが、春闘のベースアップとして聞こえてくるのは3千円とか4千円で、4千円は高いという話だ。これでは絶対に前回の消費税増税と同じ轍を踏んでしまいそうである。単純に考えても今回は賃金の5%上昇が必要で、来年以降もインフレ率以上の賃金上昇(2%)が必要なはずだ。

でなければ、庶民の財布の口は固くなり消費税税収が減少し、経済が回らないことで所得税税収も減少するハメになる。その辺りの舵取りがもうすでに春闘のベースアップ率を見ても失敗している。

あと、以前からこのブログでも何回も書いているが、現在の「成果主義」の会社では先行きの収入の安定に対する不安(賃金が下がるかもしれないという不安)があるため、大きな買い物(家、自動車など)を控える傾向にある。この日本企業に蔓延している「成果主義」を排除し、賃金の引き下げは会社が安定している間は絶対にしないと各企業の経営者に宣言してもらわないと、オチオチ買い物もできない。

そういった準備が出来ていないのに、3%の増税である。よほどの景気回復がなければ1年後は低成長に逆戻りである。

各企業の経営者は営業利益の内部留保を拡大するのではなく、ベースアップ5%以上を従業員に支払わなければ、このアベノミクスによる景気拡大も元の木阿弥であろう。

まあ何度考えても、この消費税増税は早まったなと思う次第である。
 
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政治・経済 | comments(1) | trackbacks(0)
 
実質給与増加額とベースアップって違うんですね。トヨタの場合3,500円のベースで実質給与増加額は1万円くらいとのこと。なるほど…。賞与増と合わせれば1万5千円程度になるのかも…。ということで文中のベースアップの記述は実態に少し合わないですね。すみません。
yas_suzuki | 2014/03/12 13:41
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