なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか

なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか
なぜ、その子供は腕のない絵を描いたか
藤原 智美

「「家をつくる」ということ」という本からはじまって、「家族を「する」家」、「「子どもが生きる」ということ」と、藤原智美さんの本は「家」にまず着目し、そこから、そこに住む家族に焦点がうつっていき、今は子どものことを描いている。

戦後の高度経済成長期をすぎて、どうも核家族の周辺がおかしい。

私の実家も昭和40年代の高度経済成長期に建てられた新興住宅地の一角にある。ほぼ同じ年代の親たちが2000世帯も過ごすニュータウンだ。ぼくらが子どもの頃まではよかったのだが、大学を卒業するころから途端におかしくなってきた。

私もそうなのだが、大部分の子ども達がいっせいにその街から姿を消したのだ。それは当然の成りゆきなのだ。同じ時代に同じ年代の人々が核家族を構成したのだからしかたない。子ども達が都心に出れば、残るのは老人たちだけなのだ。ニュータウンの中央部分にあった商店街も姿を消し、昼間でも静かな街は不気味な感じを醸し出す。

おかしな現象が発生したのは、やはり、私が大学を卒業するころだ。僕らの親世代の人たちの多くが特に母親が精神的に変になっていったのだ。こどもたちが手を離れて、ぽっかりと心の中に空洞ができたのかもしれない。原因はよくわからない、子離れできなかったのかもしれないが、当時としては、共働きの多い地域だったにもかかわらずである。

ニュータウンのコンクリートの無機質な街づくりが問題なのかもしれないが、真相はよくわからないが、やはり子どもが家から出ていって生き甲斐をなくしてしまったのが一番の原因なのかもしれない。

この本では、母親の過剰な干渉が子ども達に「腕のない絵」を描かせるとしているが、当時の私達にくらべて、最近はさらに余裕がなくなってきているのかもしれない。子ども達も遊び場がなくなり、家にいる時間が長くなっている。いきおいストレスの多い母親はますますそのストレスを子どもに向けるのだろう。

社会のあり方、家族のあり方、いろいろな問題が噴出しているなか、徐々に日本人の子ども達は蝕まれているのかと思うと、胸が苦しくなってくる。

読後感がとても重たい本なのだけど、明日に向かって、子ども達にどう接するべきなのかを教えてくれる本でもある。
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新 歴史の真実

新歴史の真実―混迷する世界の救世主ニッポン
新歴史の真実―混迷する世界の救世主ニッポン
前野 徹

ちょっと片寄ってるという人もいるかもしれない。だけど、僕はこの前野さんの主張する日本こそ来る時代の盟主だという考え方が正しいと思う。

日本国民は、自虐史観を捨てて、過去の偉大な先輩方の残した「大和魂」をもう一度蘇らせ、世界平和に向けた新たな一歩を踏み出さなければならないのだと思う。

アインシュタインの残した言葉として「…私はこのような尊い国が世界に一ケ所ぐらいなくてはならないと考えていた。…それにはアジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。われわれは神に感謝する。我々に日本という尊い国をつくっておいてくれたことを」という一節を紹介している。このことは我々は最もかみしめて生きていかなければならないことだ。

戦前・戦後のころまではマレーシアや台湾の人たちもそう思っていただろう。なのに自虐史観がはびこり、自信喪失状態の今の日本は、昔の面影が全くなくなっている。

もう一度近代史を復習し、東京裁判以降の歴史認識がいかに間違っていたのかを認識するためにもこの本は30、40代の働き盛りの我々が読んでおくべきだと思う。

中韓の不等な内政干渉に屈すること無く、正々堂々と正義を貫くのが日本のやり方なのだと痛感する。日本再生を願って、日本人は胸を張って生きていくべきだ。
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さおだけ屋はなぜ潰れないのか?

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学
山田 真哉

ベストセラー本。本屋の店頭に積んであったので、なんとなく手にしたもの。タイトルがうまく、何の本だろうかなと気になってしまう。

この人の「世界一やさしい会計の本です」などを読んだことがあるので、ああいう感じかなあとも思ったのだが、この本は非常に視点がおもしろかった。

「さおだけ屋がなぜ潰れないのか?」とか「ベッドタウンの高級フランス料理店がなぜ経営が成り立つのか?」とか「在庫だらけの自然食品店」とか「昼過ぎに完売してなぜ怒られるのか?」などなど、確かに…と不思議に思うことを題材にしている。ワリカンの支払い役の話は銀行員生活が長かったので前から知ってたけど、その他はなかなか興味深い話ばかり。

仕事のヒントになるような話もちりばめられており、これで700円は安いなと感じる本ですね。会社の行き帰りだけで読破できる内容でありながら、中身は充実です。
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検証「学力向上」

検証 学力向上 「陰山メソッド」の現場がわかる
検証 学力向上 「陰山メソッド」の現場がわかる
出来 斉

陰山先生のチャレンジ精神はすごいと感じるが、考えてみれば、この程度の読み書き計算の徹底は、昔はあたり前にやっていたのではないかと思う。

僕らが子どもの頃は、もちろん学級崩壊などなかったし、もっと遊んでいたし、それでいてみんなで「世界の首都あてクイズ」やら「算数の計算をいかに簡単にとくか」といったことを休みの時間に黒板に落書きしながらワイワイやっていた。

6年生の時には新任の先生の発案で「卒業論文」を書こう!ということになり、1年かけて、僕は「食品汚染」について調べた。ブルーバックスシリーズやら有吉佐和子の「複合汚染」を読んで、ノート2冊に調べまくったことを書いた記憶がある。

東大の医学部に行ったやつは当時「日本の戦争の歴史」を調べていた。白村江の戦いという言葉をその時にはじめて知った。仲のよかった友達は日本の瓦の形を調べていたし、サッカー大好きな少年はクモを調べて、いっぱい学校に持ってきてた。とにかくどんなテーマでもいいので好きなことを調べるというのが良かったみたいで、みんなすごく勉強したと思う。当時の同級生はほとんどいい大学に入ってる。

いまでもリアルに思い出すくらい小学校のころは、いろんな事をやった記憶がある。

この本にはさまれている写真の数々を見てて子ども達がすごいイキイキしているなあと感じたのだけれど、先生がかなりアプローチをかけていることでやっと反応しているとも感じた。型から入るのは大変大切なのだけれど、僕らの小学時代は先生がそこまで介入しなくても自主的に子ども同志で学んでいた。

陰山学級がずいぶんマスコミにも取り上げられているけれど、僕らの小学校のころの方がもっとすごかったのではないかと、(偉そうだけど)思うんだよね。

大人がどうのこうのでなくて、子ども達が自ら学びたいと思うことをどんどんやっていける環境を作ることの方が大切なのではないかなあと思う。
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